論理的思考力、伝え方

創研を通して,技術者としてアイデアを具現化するために必要な考え方を学びました。発表を重ねるごとにアイデアをより良くするために押さえなければいけないポイント,重点的に調べるべきポイントが明確になり, 考え抜く力が成長したと自負しています。また, 研究テーマ以外の内容を様々なバックグラウンドを持つ方とディスカッションする機会は貴重でしたし,普段はお目にかかる機会のない先生方から直接ご指導頂き,現在の研究のモチベーションにも繋がっています。

プロフィール

稲田 真生さん

2021年に創研に参加

理工学研究科応用化学専攻修士課程在学中。

無機合成化学研究室で“低次元性を有するCuGeO3の元素置換効果と物性評価”について研究を行っている。

思考を磨き自ら質問をして相互理解を深める道場

研修に初めて参加した当時、私は修士1回生で授業の合間に実験や他の活動もあり慌しかったと記憶しております。研究報告会を間近に控えていた中で2週間も研修に行くことに些かの不安を覚えていました。しかし、研修に参加して10年が経ち改めて振り返ると創研に参加したことが人生の転換点だったと確信しています。
 研修を振り返り学んだことは数知れませんが、主に2つ紹介したいと思います。1つ目は「考え抜く」ことの大事さです。「創造発明は高価な設備から生まれるものではなく、直感から生まれるものである。その直感とはハードトレーニングにおいてのみ生まれる。」という加藤与五郎先生のお言葉通りだと研修を通じて身に沁みました。最初は思考が浅くてもトライ&エラーを繰り返し洗練していけば、ふとした時に物の見え方が変わっていることに気付かされます。2つ目は「質問をする」ことの大切さです。元来、自分の無知が公になることは恥ずかしいことです。しかし、何も分かっていないのに分かったふりをして平然とすることを本当は恥じるべきだと私は考えます。また質問を前提に話を聴くと話者の意図や不明瞭な部分が見えてきます。バックグラウンドがない分野の話でも「初歩的な質問で申し訳ない。」と前置きをすれば大抵許してくれますし、むしろフラットな視点で考えることができて本質をとらえられることが多いと研修を通じて実感しました。

プロフィール

寺田 宏一さん

2012年、2011年に創研に参加

理工学部工業化学専攻修士課程2013年3月修了

ダイソーエンジニアリング株式会社勤務。様々な電解分野で用いられる不溶性電極の研究開発

創研の思い出

当時,博士課程への進学を心に決め,指導教員である渡辺好章先生に相談させていただいた際に,「博士になるのであれば,当然創造力あふれる人材で無ければあかんよな」とそそのかされ,創研に参加したのが2012年のことでした.朝6時からのラジオ体操とランニング,9時からの濃密な3時間の研修会,情報収集といえば資料室にある本のみ,創研での日々は今思い出しても背筋が正される思いです.
 かくいう私も散々なアイデアしか提案できず,日程の終盤にもなると突拍子もないアイデアしか思い浮かばなくなりました.ですが研修会での反復的な議論を通じて,なぜ私のアイデアが突拍子もなさすぎるのか,自分のアイデアの落ち度を少しは自分で事前に客観評価をできるようになれた気がしました.革新的なアイデアの創出には,むしろ物理現象の始祖的・本質的な原理の深い理解と,論理展開力をもって人を説得する能力が大事だということを学びました.
 当時の発表内容を覚えておらず,本HP内の過去の発表リストを見て,今まさに私自身が研究で実装しようとしている内容について発表をしていたことに微笑を浮かべてしまいました.当時の私には論理的思考に基づく発表力がなく,研修会では先生方をやきもきさせてしまいましたが,ささやかな着想力はあったのだと自分に及第点を上げたい気持ちです.創造性あふれる思考力の訓練をされたい方は,ぜひこの貴重な研修会に参加されることを強くお勧めします.

プロフィール

山田 恭史さん

2012年に創研に参加

生命医科学研究科 2017年修了 博士(工学)

広島大学統合生命科学研究科(理学部数学科 兼任)助教.コウモリの超音波ナビゲーション戦略を模倣し,ドローンのナビゲーション技術へと応用する研究に従事.コウモリの飛行音響計測から数理モデリング・実機実装に至るまでを自身で行う構成論的研究を展開.